最近、健康診断の項目にピロリ菌があり、検査をされる方が増えてきました。
ピロリ菌とは
胃の粘膜に住んでいる細菌で、強い酸性の胃液の中で、アンモニアを作り出すことで胃酸を中和しながら生きています。酸素のある環境には弱く、乾燥にも弱いです。
ピロリ菌はどこで感染する?
ピロリ菌は小学校入学前に感染のピークがあるとされています。つまり、幼少期に衛生環境が良くなかった世代の方が多く観戦していて、上下水道が完備されて衛生環境が良くなった世代では感染が少なくなっています。また、感染している人の唾液にピロリ菌のDNAが含まれていたとの報告もあり、口移しでものを与えることが感染につながるとも考えられていますが、せいぜい10%程度と言われています。
ピロリ菌は何をする?
ピロリ菌は胃の粘膜に住み続けて慢性的な炎症を起こし続けます。そのため、胃もたれ、吐き気、食欲不振などが起きるといわれています。ただし、前述のとおり、物心ついたころにはすでに感染していることが多いため、最近こんな症状が出てきたからピロリ菌に感染したんじゃないかということはないと思います。
また、ピロリ菌に感染していると胃酸分泌が不安定になるため、十二指腸潰瘍や胃潰瘍ができやすくなり、将来的に胃がんの発症リスクも高くなります。
胃がんの99%はピロリ菌感染に伴うものと言われています。
ピロリ菌の検査はどんなものがある?
①抗体検査(採血)
②尿素呼気試験(息を吐いて調べる)
③抗原検査(便に落っこちたピロリ菌を調べる)
④迅速ウレアーゼテスト(胃カメラ中に行う)
⑤検鏡(胃カメラで細胞をとって顕微鏡で観察する)
⑥培養
当院では①②③を実施しています。
採血で抗体陽性!!すぐに除菌が必要?
まずは胃カメラを行うことが大事です。前述のとおり、ピロリ菌は胃がんのリスクになります。除菌だけやってやれやれと思っていたら、実は癌ができていて・・・なんてことがあったら泣くに泣けません。まずは胃カメラを行いましょう。
当院の胃カメラ
百戦錬磨の胃カメラ経験者が来られるよりは、「初めて胃カメラを受けるんです」といった方がこられることが圧倒的に多いのが当院の特徴です。口から挿れてオエッとなって、二度とやりたくないと思われるのは嫌なので、当院では鼻からの胃カメラを採用しています。以前は画質が悪いことが問題と言われていましたが、近年画質は飛躍的に向上しており、1㎝未満の早期がんも数人見つけています。