健康診断では、肝臓の数値を調べます。
肝臓の数値と言われるものには代表的なものに以下のようなものがあります。
1.ASTとALT
肝臓の細胞で作られる酵素です。
肝臓にに何らかのダメージが加わると、肝臓の細胞が破壊されてASTとALTが放出されて血液に流れ込みます。そのため採血でASTとALTを調べて肝臓の細胞が壊されていないか確認するのです。
ASTもALTも肝臓に多く存在しているのですが、特にASTは筋肉や赤血球にも存在していて、例えば「健康診断前だし、運動しなきゃ」とばかり、激しく筋トレをしたり、血管が細くて採血に手間取ったりするとASTが上昇することがあります。
ASTもALTも似たような数字のことが多いですが、ASTのほうが高いときは急性肝炎など急激に肝臓の細胞が破壊されていることが多く、逆にALTのほうが高いときは長い時間肝臓が地味に攻撃されていることが多いです。
ご自身の健康診断の結果を見てみて、ほとんどの方はALTのほうが高めだと思います。
2.γGTP
肝臓で作られる液体、「胆汁」の通り道でつくられます。
山で雨が降って、小川に流れ込んで、集まって川になって、河口から海に出ていくように、
肝臓で作られて、細胆管に出て、それが集まって総胆管に流れ込んで、十二指腸へ流れ出していきます。
その流れのどこかに異常があって、流れが滞ってしまうとγGTPが上昇してきます。
癌や総胆管結石によるもののほか、アルコールや脂肪肝でも数値が高くなります。
3.総ビリルビン
ビリルビンは寿命を迎えた赤血球が壊されてできる物質です。肝臓で「胆汁」に乗せ換える作業が行われます。正常の肝臓ではせっせと血液中のビリルビンを胆汁中に乗せ換えていますが、胆汁の流れが詰まってしまうと交通渋滞をおこしてビリルビンが上昇してきます。癌や総胆管結石が代表的ですが、体質性黄疸といってもともと乗せ換えの作業が遅い人もいます。
気持ち悪くて何度も吐いていると、黄色くて苦いものが出てくる、あれがビリルビンの色であり、うんちが茶色いのもビリルビンのせいです。
これらの数値異常は、ほとんど症状が出ません。健康診断で肝機能異常を指摘されたときは医療機関で精密検査を受けましょう。